オランダのカルチャーシーズンの再開は可能か?政府の支援は?
オランダのシアター、オペラ、ダンス、バレー、コンサート、映画などの舞台芸術は、夏休みの終わる8月末から9月にかけて一斉に開始する。文化シーズンの始まりを告げるアムステルダムの「De Parade」は、毎年80近くの団体が参加し紹介パフォーマンスを楽しむことができるイベントだ。それが今年はコロナウィルス感染防止で非常に小さな規模で限られた観客数に縮小された。美術館や博物館でも予約制で入場制限が行われている。いったいオランダのカルチャーシーンはこの秋からどうなるのだろうか。文化団体はこれまで政府の支援(総額3億ユーロ、約360億円)でなんとか存続してきたが、今後いったいどうなるのか。
劇場やコンサートホールには人と人の距離を保つため、たいていの場合最大収容人数の20%程度しか入場できない。その上、感染を恐れて密室に行こうとする人が少ないため、それでもチケットは売り切れないという。(劇場・コンサートホール連盟VSCD談)
中央統計局(CBS)によれば文化セクターで働いている人は2018年には24,000人。興行は年間54,000件に及んだ。ところがコロナ危機で興行の機会が失せたため、劇場やコンサートホールといった箱だけでなく、アーティストや技術者、ケータリング会社そしてホールに付随する飲食店なども大きな影響を受けている。劇場やアーティストらはオンラインで興行を行うなど工夫しているが、やはり収入には限りがある。アムステルダムの劇場Meervaartは通常の20%の売上だという。
ほとんどの劇場や文化施設は政府の財政援助を受けている。従業員の給与を90%まで補助するNOWスキームで多くの企業や文化施設が持ちこたえているが、この補助スキームも10月1日まででその後どうなるかは未定だ。文化施設の中にはこのスキームを受けたいがために、公演を行わないというところもある一方で、補助金を受けずに公演を行っている団体や施設はすべて赤字である。
政府が文化施設やアーティストに対する支援策を打ち切れば、オランダのカルチャーシーンが後退することは免れないだろう。
(画像: Hans-Peter Harmsen)