オランダの農家「危機」を「機会」に。輸出や飲食店への販売減少を直販でカバー

「ローカルフード(産地直送)」と「オーガニックフード(無農薬製品)」などがコロナ危機で脚光を浴びている。世界第2位の農産物輸出国であるオランダの農家は、コロナ危機による輸出や飲食店向けの販売中止で、売上が落ち込んでいる。しかし、オランダ国内での直販に目をつけ、この拡大に期待を寄せている。

地元での販売(ローカルフード直販)を表す、近所(buurt)と農家(boerderij)をもじった「Buurderij」b。オンラインで販売するのは南ホランド州の「Rechtstreex」、アムステルダムの「Support your locals」、北ホランド州の「Streekboer」そして全土で販売する「Boeren en buren」などがある。どのオンラインショップもコロナ危機以前と比較すると2−5倍の売上を記録している。

売上が5倍となった「Streekboer」によれば、この売上増は「人々が農産物の原産地や適正価格についてじっくりと考える時間ができた。」のが大きな要因だと説明している。在宅勤務者が増えたことで、ローカル原産品や農薬を使わない野菜などへの関心が高まっている。また人の多いスーパーマーケットでの買い物を避けたい人も増えている。スーパーマーケットは外出規制が敷かれた当時は、買いだめをする人で賑わい莫大な売上を記録したが、最近では売上は以前の状態あるいは減少気味だ。

農家もこれまでサラダ菜一個を卸売に65セントで販売していたのが、直販では1.5ユーロになると歓迎している。農家は売上の一部をオンラインショップ運営者に払うのみで、残りはすべて自分たちに還元される。さて問題はコロナ危機が去ったあとだ。いったいこの傾向は続くのか、それとも人々は昔のようにスーパーマーケットで手軽に買い物をするのか。これはまだ誰もわからない。