コロナ危機によるオランダの経済と人々の暮らしへの影響

数週間前、まだコロナ危機が欧州やオランダで現実的ではなかった時とは一転し、飲食店は閉店、人々は在宅勤務となり、企業は規模にかかわらず売上が減り、株価は下降の一途をたどっている。いったいこの危機が継続するとオランダの経済や人々の暮らしはどうなるのか?オランダ国営放送(NOS)の解説である。

1.外出しないことで支出が減る。特に外食、リクレーション、電化製品、衣料への支出は激減するため、およそ1200億ユーロの損失が見込まれる。また各国の国境閉鎖で輸出にも暗い雲がたちこめている。花卉業界の売上は90%が輸出だ。

2.雇用の大幅な減少。企業の支出のうち人件費は平均70%を占めているが、費用削減の最も早い方法は人件費の削減。今一番打撃を受けている飲食業界だけで60万人が働いており、この半数はアルバイトや個人事業主だ。この人達は収入源を失う。当然ながら所得がなくなれば支出にも影響する。この下方スパイラル(悪循環)を打破するために、政府は月曜日数百億ユーロの救済パッケージ(バズーカ砲とオランダでは称されている)を発表している。

3.ユーロ圏では財政的に弱い国への打撃が大きい。イタリアやギリシアのように観光収入の財源に占める割合が高い国はとくに影響が大きい。これらの国々は、公的債務も高くほとんど返済できない状況だ。そして支払い金利が膨らみ財政的問題につながっている。この問題はユーロ圏を揺るがす可能性がある。オランダを含めた他のユーロ諸国や欧州中央銀行は救いの手を差し伸べることが期待されている。

4.銀行は持ちこたえられるのか? ABNAmro銀行は、2009年の金融危機ほどではないが景気後退が来ることを予想している。貸し出している企業が倒産した場合には政府が補償するため銀行は守られるはずだ。欧州中央銀行も金利の切り下げを実施したので、オランダの国内の銀行は低金利で資金調達が可能となった。これにより、銀行は企業や個人への貸出を緩和できる。かつての金融危機とは全く違った対応が可能というシナリオだ。

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