オランダ売春禁止請願に4万人が署名、性産業従事者の反対も

オランダでキリスト教徒の若者を中心に「売春婦利用を違法とする」運動が起きている。売春に反対する「Exxpose」という団体がすでに40,000人から署名を集めている。「性をお金で買うのは搾取に他ならない。弱い立場にいる人たちを利用し無理強いしている。」と同団体。

これに対し性産業従事者であるイベット・ルールスさんは、売春を禁止する計画は「恐ろしい」と反対している。「Exxopose」が目指しているのは北欧形式で、売春婦を買うこと自体が犯罪となる。現在この北欧モデルはスエーデン、ノルウェーそしてフランスで適用されているが、イベットさんによれば売春婦を危険な立場に追いやるというのである。スエーデンではこの法律により「悪い」訪問者のみが残り売春婦に対する暴力沙汰などが増えた、とイベットさん。さらにフランスでは売春婦の間でのHIV感染が増えたという。またこれらの国での人身売買が減ったというデータもない。

国際的な人権団体であるヒューマン・ライツ・ウォッチも、この北欧モデルに反対している。売春をなくそうという心構えは悪いとは言わないが、性産業従事者にとって否定的な側面が多すぎだと同団体。「暴力沙汰が増え、安全な場所での仕事を見つけることや、警察に行くことも難しくなる。」と悪い面を強調している。同じく人権団体アムネスティ・インターナショナルも売春禁止に懐疑的である。売春による犯罪があることも確かだが、売春婦は合法化により恩恵を受けている点も否めない。問題があれば警察に駆け込むことも簡単だし、暴力や人身売買も防ぐことが可能だ。

オランダでの売春は市町村レベルで規制が行われている。飾り窓などで自営するのを認める市もあれば、これを禁止する市もある。共通しているのは、売春婦はEU加盟国出身の18歳以上で居住許可を持つ人に限るというもの。アムステルダム市ではこれが21歳以上と規制されている。売春婦が規定年齢に達していれば訪問者に対する罰則はない。