オランダ政府エールフランスKLM株式さらに買い増し、フランス政府と同等の14%に。フランス政府怒りの反応

オランダ政府はオランダの国内経済を守るという目的で、エアフランス・KLMの株式を買い増ししたが(昨日の記事参照)、昨夜27日夜「現在フランス政府の持ち株14.3%とほぼ同等の14%にまで買い増しを完了した。」と発表した。オランダ政府の持ち株市場総額は7億4400万ユーロ。これについて、フランスのル・モンド紙はフランス政府は「驚き、そして友情に欠ける行為」だと非難していると書いている。「フランス政府はこの買い増しについて全く事前に知らされていたなかった。」とし、マクロン大統領はオランダ政府に対し買い増しの目的を明確にするよう求めている。

フランスの経済相ブリューノ・ル・メール氏は今週末にもオランダの経済相フークストラ氏と会見する予定。ル・メール大臣はオランダ政府の介入に対し「理解できない。そして予想不可能な結果。」だとし「競争の激しい航空業界でフランスとオランダは協力しあわねばならない。」とオランダ政府の結論を激しく批判した。オランダのルッテ首相はマクロン首相に今回の買い増しについてはすでに電話で通達済みである。

今回の政府による民間企業への出資に関し、オランダのテレグラーフ紙は次のように分析している。1990年代からオランダは他の国に先駆け国営企業の民営化を進めてきた。郵便、テレコム、鉄道、エネルギーそして介護までが民間の手で運営されている。この流れに逆らうような政府の介入はこれまでの流れを変えるものとなるのか。オランダのフランス化の始まりだろうか?あるいはこれは例外に終わるのか? エアフランス・KLM連合は株式と役員の比率でフランス側が指導権を握っていた。2017年にデルタ航空と中国イースタン航空がそれぞれ10%の株主となったときもオランダ側の意向なしにフランスの決断で行われた。さらに昨年にはフランスのホテルチェーン・アコーへの株式売却もフランスが決めていたが、オランダ側は反対し、これが今回の株式買い増しの引き金となった。フランスに実権を握られていたオランダの反逆といってもいいかもしれない。