オランダ王室オレンジ家所有のアート、競売に

オランダ王室オレンジ家所有のアートが今月ロンドンとニューヨークのオークション(競売)会社「サザビーズ」で競売にかけられる。競売に出されているのは、巨匠のスケッチ13点と中国の器や銀食器など12点。見積もり価格は350万ユーロ(約5億円)と予想されている。

今月の30日にニューヨークで競売にかけられるスケッチには、ウィリアム2世(1792−1849)とその妻でありロシアの皇帝の娘アンナ・バヴロヴナが集めたもので、ルーベンスの作品などが含まれる。
ルーベンスが描いたスケッチはアントワープの大聖堂に飾られている「十字架にかけられるキリスト」の下書きである。1月17日のロンドンのオークションにはラリックが王室のために1937年に製作したチューリップを刻んだガラス器が含まれる。

ウィリアム2世は当時義理の弟であるロシアのニコラス1世に絵画の蒐集のために100万ギルダーを貸しつけた。ところがニコラス1世が1894年に急死し、ウィリアム2世は巨大な借金を抱えることになる。家計を立ち直すために、ウィリアム2世は、ラファエル、ミケランジェロ、ダ・ビンチ、ファン・エイク、ルーベンス、ベラスケス、レンブラントなどの作品を売ったが、当時の総額で77万ギルダーにしかならなかったという。その後オレンジ家ではアートの蒐集はなくなり、もっぱら競売に力を入れている。前女王であるベアトリクス王女は総資産2億2000万ドル(約260億円)と世界で最も裕福な王室のメンバーのひとりで、欧州では英国のエリザベス女王に次いで5番目の資産家王族である。