「急進的な」オランダの基礎を築いたコック元首相逝去

オランダの元首相であり党派を問わず敬意を払われていたヴィム・コック氏が20日80歳で亡くなった。コック氏は労組書紀を経て下院議員となった。中道左派の政治家として頭角を現し労働党党首に。94年首相に就任し、連立政権を率い、経済成長を実現。世界の手本となったワークシェアリングを定着させ、安楽死や同性婚を実現するなど進取的政策を進めた。
1994年から2002年にかけ2期にわたり右派との連立政権を率い、経済の発展にも貢献した。英国のトニー・ブレア首相は1998年に「現在最も偉大なる政治家のひとり」だと称賛している。1995年に起きたボスニアでのスレブレニツァの虐殺でオランダの平和維持軍がこれを阻止できなかったことへの責任をとり、コック首相は2002年に辞任している。

権威を嫌うオランダ人に、気取らず信頼がおけるコック氏は絶大なる支持を得ていた。大工の息子として生まれたコック氏は労働党の党首として活躍するとともに、世界が注目したポルダーモデルと呼ばれるシステムを定着させ、オランダを不況から救った。ポルダーモデルとは、かつては「オランダ病」と揶揄されたほど経済活力の点で問題の多い国だったオランダが、「オランダの奇跡」「EUの優等生」と呼ばれて、世界の注目を浴びるまでになった経済モデルである。政府、経営者そして労組の3者の協議を行い、パートタイムと常勤雇用との時間あたり賃金と社会保険の差をなくし、一種のワークシェアリングを全国的に行った。コック氏はこのほかにも安楽死や同性婚の実現に貢献し、「急進的な」オランダのイメージをさらに強いものとした。