オランダ農業トレンド「酪農から昆虫飼育へ?!」

最近オランダでは、乳牛や豚を飼育していた農家が、バッタやハチやミールワーム(昆虫の幼虫)の飼育に転じている。この昆虫飼育業はこれからの農業セクターになると注目されており、今後も伝統的な酪農業からこちらに転じる農家も増えそうだ。

牛乳価格は下がる一方だというのに仕事はきつい酪農業農家が、仕事も楽な上、収入も多い昆虫飼育へ転じるのは自然な成り行きかもしれない。農業科学分野では世界有数のワーヘニンゲン大学の研究者であるファン・ハイス氏は「昆虫飼育は乳牛や豚の飼育に比べ、環境への負荷が大幅に低い。温暖化ガスの発生量も少ないし、水の使用量も圧倒的に少ない。」と昆虫飼育の利点を上げている。昆虫はタンパク質などの栄養素に富んでいるので、動物そして人間の食料としても有望だ。ただし欧州連合(EU)の規則では、昆虫は豚と鶏の餌としてはまだ使用が許可されていない。ファン・ハイス氏によれば、これもいずれは解禁になると楽観的である。「昨年の7月から魚の養殖での昆虫を餌にすることが許可されているので、今後2年間で豚や鶏の餌としても使用される可能性は高い。おそらく昆虫飼育業は爆発的に拡大するはず。」と同氏。

9年前から昆虫飼育業を行っているアールツ氏の会社は拡大を続け、現在では国際的にもトップの地位を築いている。アールツ氏も環境に優しい昆虫飼育業をこれから急激に発展するビジネスだと見ている。残飯を餌にする昆虫が、今度は自分が餌になるという巡廻型経済(サーキュラーエコノミー)を体現しているビジネスといえる。この新しい市場への投資の増加も見込まれているだけでなく、政府の支援も動き始めている。農業・食糧省のスハウテン大臣は、今後家畜だけでなく人間の食料としても昆虫への需要は高まるとし、昆虫飼育の推進を支持している。