オランダでブロイラー鶏が減少、「優しい飼育」で育つ鶏が増加

オランダでは数億羽の食用鶏が飼育されているが、その飼育環境がここ数年改善されてきている。一羽あたりのスペースも増え、夜も暗くしストレスを減少させ、動けないための足の損傷も減っている。短期間で急速に成長させる狙いで飼育されているブロイラー鶏の飼育環境に、2011年ごろから大きな批判があがっていた。当時ブロイラー鶏は生産される食用鶏の93%に上っていた。生産性を追求するために、合理化された大規模な密閉型の鶏舎の中に収容され、ホルモンや抗生物質が定期的に投与されるブロイラー鶏は、食肉用動物虐待に反対する団体「Wakker Dier」の攻撃の的となった。「Wakker Dier」がテレビやポスターなどで大掛かりなキャンペーンを繰り広げたことで、鶏飼育業界も変わってきた。2011年にはこの品種は数%に過ぎなかったゆっくりと育つ品種が、現在約30%に増加している。。ブロイラー鶏が6週間で食肉用に育つのに対し、この品種は7−13週間で成長する。さらにこの品種は病気になる可能性も低い。

動物福祉団体は10年前から食肉に「飼育環境のいい肉」認定マーク(Beter Leven – Keurmerk)を導入している。この認定マークはビオ(オーガニック)マークほど厳しく生産費用の高いものではないが、その代用として普及してきている。「Wakker Dier」がブロイラー鶏をやり玉にあげてからというもの、スーパーマーケットも「飼育環境のいい肉」の普及に取り組んできた結果である。オランダ政府やEUの基準もこれに拍車をかけた。
オランダで消費される鶏の大半は、ブロイラー以外の「やさしい飼育環境」の鶏に変わった。しかし生産される食用鶏の70%はいまだにブロイラーで、これは主として輸出されている。

食肉用動物の虐待に反対する団体「Wakker Dier」