オランダで狼に襲われる羊増加

羊を襲う狼というと昔の童話の世界のようだが、現在オランダでは狼に襲われて死ぬ羊が増加している。羊を飼育する農家は狼による損害と狼対策の費用を国が負担するよう働きかけている。今年狼に殺された羊は134頭に上る。昨年は21頭、一昨年の2016年には狼による羊の被害はゼロだった。国の動物被害基金(Faunafonds)によれば、一頭の被害額は15000ユーロと見積もられているが、実際に支払われるのは2000ユーロだ。この金額が少なすぎるというのが羊農家の言い分である。さらに羊農家は、ドイツやスエーデンのように国が狼から羊を守る対策費用を負担すべきだと主張している。たとえば電気の流れる鉄条網を牧場の周りに張り巡らせる費用である。狼は保護動物なので射殺することは禁止されている。

ひと昔前にはオランダにも狼が生息していた。それが19世紀の初頭に狩猟で絶滅してからは皆無となった。しばらく生存が確認されていなかった狼がオランダに出没しだしたのはここ数年のことである。これまでに目撃されている狼は6頭。狼が出没しているのは中部と東部である。実際に羊が殺されているのはヘルダーラント、オーフェルアイゼル、ドレンテ州そしてフリースラント州の一部。農家は被害の増加を懸念している。