KLMとエア・フランス、企業文化の違いで分裂の危機

オランダのKLMオランダ航空とフランスのエアフランス航空は、2004年5月5日に両会社間で特殊会社の方式で経営統合がおこなわれ、共同経営を開始した。しかし、オランダとフランスの企業文化の違いで争いは絶えず、分裂の危機に瀕していると、フォルクスクラント紙が報じている。フランスの国立科学研究所(CNRS)とオランダのティルブルグ大学が共同で経営陣に対しインタビューを行った結果である。

KLM側は、経営状態の良いKLMがエア・フランスに足を引っ張られており、経費削減を進める代わりにエア・フランスはストライキばかり行っていると批判している。実際2016年度のKLMの経常利益は6億8千100万ユーロと、エア・フランスの3億7千200万ユーロの倍近い。しかし調査にあたった研究機関によれば、問題は経営状態というよりも文化の違いによる衝突が根本にある。

フランス側は、KLM/エア・フランス両社にとっての全体の利益を優先するが、KLMは自社の利益のみを追求していると批判。しかしKLMに言わせるとこれが全く逆である。また意思決定のプロセスの違いも大きい。決定が速いオランダに比較し、1万ユーロの経費ですらフランスでは4回の会議と6通の署名が必要になるという。

フランス側はオランダ人はすべてが利益目的だけで動くと批判。これに対しオランダ側は、フランスは社内政治に右往左往しているだけで企業の利益を考えていないと指摘している。この報告書の結果、両社は文化の違いを乗り越えて成長するか、分裂するかが注目されている。