ウィルダースがオランダのEU離脱の国民投票を呼びかけるも、現行法ではほぼ不可能
英国民投票でEU離脱派が勝利したことを受け、極右PVV党のウィルダース氏がオランダのEU離脱国民投票実施に気炎を上げているが、現時点では法的に不可能に近い。
政治学者でトゥエンテ大学教授のローゼマ氏は、オランダの国民投票法は、新規に施行された法律と条約に関してのみ実施可能で、EU離脱を問う国民投票はこの範疇ではないという見解を表明している。今年4月6日に実施されたウクライナに関する国民投票は、議会が決定したEUとウクライナとの連合条約の是非を問うもので、国民投票実施の基準にあてはまる。EU離脱の是非はこの「新しい法律」と「条約」という基準に該当しない。
さらに、ライデン大学のフアマンス教授によれば、オランダの憲法では国民投票の結果は法的拘束力がない。実際、先のウクライナ協定に関する国民投票の結果も法的な拘束力はなかった。EU離脱の国民投票実施自体が仮に行われたとしても、投票結果に法的拘束力はない。拘束力を持たせるには、憲法改定が必要となる。そしてその憲法改正には議会での承認、解散、総選挙実施さらに3分の2以上の議会での同意、と限りなく高い壁がある。