オランダ、ホームレスの数増える

オランダでホームレスの数が増えている。中央統計局CBSの調査によれば、現在約3万1千人が住む家を持たない。2009年にはこの数は1万3千人だったので74%増加したことになる。この増加の背景には長引く不況があるというが、実際の理由に関しての調査はまだ行われていない。ホームレスが急増したのはリーマン・ショック後の2009年から2010年にかけてだった。貧困ぎりぎりにいた人たちが失業で家賃が払えなくなり住む場所を失った。経済が良好な時期には何とかなった人たちも、不況下では貧困から抜け出せなくなり、ホームレスとなるしかなかった。現在もこの状況が続いているのだ。

ホームレスは非西欧諸国からの外国人が多く、この数も2009年の6500人から1万3千人へ増加している。ホームレスも貧困者数も非西欧外国人は通常のオランダ人より多い。アジア、アフリカ、中東などからの外国人は職を得たとしても往々にして低賃金で働かざる得ないことが多い。さらに、社会的なつながりが希薄なため失職しても周りでこれを助けてくれる人が少ないことが、外国人のホームレスを増加させている。経済の失速は非オランダ人への風当たりが強いといえる。

オランダではホームレスといっても路上生活者ではない。決まった場所に住居を持たず、ほとんどの人はシェルターなどで生活したり、知人宅などを転々としており、基本的に寒さで凍ったり飢え死にすることはない。しかしながら、ホームレス生活から抜け出すのは容易くない。