アムステルダムの住宅市場過熱気味、30代とベビーブーマーが後押し

オランダの不動産市場は回復した様相を示しており、2008年のリーマンショック以前の水準を超えている。とくに大都市、その中でもアムステルダムの不動産市場は過熱気味。昨年第4四半期だけで9.3%も値上がりし、平均購入価格28万8000ユーロ(約3700万円)。年間では17.3%値上がりしているにもかかわらず、アムステルダムでの住宅購入熱は上がる一方で、売りに出てから購入まで平均31日という短さである。提示価格よりも高値で売れることも珍しくない。

この加熱状態はこれまでにないレベルの金利の低さが背景にある。限りなくゼロに近い金利を反映し住宅ローンの利子も史上最低の低さ。その上オランダでは支払い金利が税控除できるという、他国に例を見ない特別な取り決めがある。さらにローン元本を返済せずに金利だけを払い続けてもいいという住宅ローンの方式もあるため、ローンの負担が少ない。そこで賃貸住宅に住むよりも家を購入したほうが安いと考える人が増えるのである。

共働きで30代のいわゆる「ヒップスター」たちは、すぐそばにカフェがあり日曜日でもパン屋が開いているような街中を好む。彼らにとって家の広さは問題ではないし、車も必要ないと考えている。さらに大都市に住みたいと思っているのがヒップスターたちだけでないというのもアムステルダム住宅市場を押し上げている要因だ。引退したベビーブーマーたちが、広大な庭がある田舎に住むよりも街中にいるほうが便利だし楽しいと考え、アムステルダムに住宅を購入するのである。