オランダの深刻な住宅不足、5つの問題点と解決策

12日日曜日、政府の住宅政策に抗議する数千人が参加する大規模なデモがアムステルダムで予定されている。オランダでは数年にわたり深刻な住宅不足が続いている。家賃は上昇し続け、住宅価格は高騰する一方。その原因は?解決策はあるのか?

1.少なすぎる新規住宅建設
現在、住宅の需要に対して約30万戸が不足している。解決方法は、新規に住宅を建設するという単純なものだが、ここ数年間ほとんど満たされていない。国務省の依頼でABFリサーチ社が調べた調査では、この住宅不足は2035年になっても解決しそうにない。住宅購入熱は、超低金利のせいで収まるところを知らず、需要は高まる一方だ。

2. 低家賃の住宅不足
低価格住宅(ソーシャルハウジング)を提供する住宅組合(Woningcorporatie)に対する税金が問題となっている。50戸以上の公営住宅を賃貸する住宅公団に対する税金が2012年から導入され、毎年17億ユーロが課税されている。これにより住宅組合は新規に住宅を建設することをやめた。この税金を廃止すれば、住宅組合も新規に住宅を建設し住宅供給を増やせるはずだ。

3.フリーセクターを牛耳る投資家
低所得者用住宅(ソーシャルハウス)以外の住宅はフリーセクターの住宅と呼ばれ、家賃は自由に設定できる。投資家がフリセクターの住居を買い占め、高い家賃で賃貸しているのも大きな問題となっている。機関投資家だけでなく、個人も貯蓄より不動産投資のほうが利回りはいいため、住宅を買い賃貸している。住宅不足を反映し、家賃は上がる一方だ。住居の賃貸に対し、家主の所得税が優遇されているが、これを廃止することで解決へ一歩近づくはずだ。

4.フリーセクターに翻弄される
政府によるフリーセクターの家賃制限もデモ参加者の要望のトップにある。公営住宅の家賃は、ポイント制で決まるが、同じような制度をフリーセクターの住居にも適用することを求めている。

5.格差は広がるばかり
上記の問題に翻弄され社会格差が広がる一方だ。低所得者は所得の多くを家賃に持っていかれ、ますます貧困化している。これまで低家賃の住宅が立ち並んでいたエリアは、取り壊され、もっと実入りのいい高級住宅に建て直されている。こうして大都市は、高級住宅を賃貸したり購入できる金持ちばかりが住む街に変貌している。これに対し政府は本腰を入れて対策を練らねばならない。今回のデモは政府の早急な対策を要求しており、多くの人が参加すると見られる。