ロックダウンから5ヶ月後のオランダの経済。借金、失業そして政府の支援

3月半ばにロックダウン宣言があり飲食店などが閉鎖を余儀なくされた。そして7月から大幅規制緩和が行われ、夏休みの今、ほとんどのオランダ人が国内で旅行を楽しんでいる。一見経済は回復したように見えるが、実際のところ、オランダの経済はどうなっているのか。今後はどうなるのか。以下はオランダ国営放送(NOS)が専門家に聞いた答えである。

ING銀行の経済専門家によれば、今のところ企業にとっては追い風が吹いているという。それでもコロナ危機による損失は取り戻していない。トリオドス銀行によれば、「例えば、美容業が再開した当時には多くの顧客が押しかけ大繁盛したが、ある時点で元の状態に戻った。コロナ時の損失はそのままで残る。」と傷跡が深いことを示唆している。ABNAmro銀行は、消費は増加するもののこれまでのような勢いはなくなると予想している。失業者が増えるので長期的には消費は冷え込むだろう。

コロナ危機が始まって以来失業者は増えている。トリオドス銀行は、失業者はさらに増加すると見ている。2008年の金融危機のときも最初の2年間は失業率はそれほど増加しなかったが、実際にはその後に打撃を受けている。これと同様なことが今回のコロナ危機でも言えるという。また企業も借入が増え返済が遅れている企業も増える傾向があり、これが倒産、失業者の増加を招き、消費を減らすことに繋がる。と同銀行。

しかしながら中央統計局(CBS)の統計を見ると実際の倒産はまだ非常に少ない。CBSによれば、政府の支援策の効果が出ているという。しかしABNAmro銀行は、政府の第一回目の支援はほぼすべての企業に届いたが、第2回、第3回と回を重ねるたびに、支援の条件は厳しくなっていくため、経営が厳しくなる企業も増えるとみている。

さて以下は政府は企業に対しこれまでどのような支援を行ってきたのかの一覧だ。
NOW:従業員の給与の90%を政府が肩代わり
TOZO:個人事業主に生活保護額を支給
TOGS:企業に対する固定費に対する4000ユーロの補助
TVL:TOGSに替わるもので、固定費に対し1000から50,000ユーロの補助

これに対しトリオドス銀行はこの程度支援策では経済の復興は期待できないと見ている。1000億ユーロ以上の経済支援を行えば経済復興は期待できる。現在困難に陥っている企業を救済するだけでなく、10年後を見据え投資を行う必要がある主張している。ABNアムロ銀行も将来の不確実性が大きいため投資が滞っていることを指摘。これが経済に暗い影を落とす可能性がある。(画像は年齢別失業者数)

CBS: コロナ危機による経済、労働、社会生活へなどの影響 (英語)