オランダ総選挙の前に知っておくべきこと

11月22日オランダ下院の総選挙が行われる。13年間という長期にわたりマーク・ルッテの率いる中道uh右派の連立政権が続いてきたが、これに不満を示す国民が選挙でどの政党を支持するのだろうか。今回の選挙では左派の労働党と緑の党が合併したり、上院選でトップとなった農家を保護する政策をとる右派BBB党の出現、そしてキリスト教民主党から離れひとりで立ち上げた現在人気上昇中の新社会契約党(NSC)の出現などが注目される。実際に世論調査のたびに支持率の急上昇や急降下が見られ、蓋を開けてみる最後まで左に振れるか右で落ち着くのか結果は予想不能だ。

今回の総選挙の争点は、住宅不足、貧困問題、移民、医療そして気候変動問題である。

住宅不足: 平均的な住宅の価格が 40 万ユーロ (6400万円) を超えるほど深刻になっている。これは、住宅探しをする人が世界の約 9 倍いるため。政府補助の公営住宅は需要が高く供給が不足している一方、主要都市の民間賃貸料は急騰している。学生たちは部屋を見つけるのに苦労しており、今年初めには10万人以上がより手頃な価格の住宅を求める請願書に署名している。

生活費: 店舗、エネルギー、住宅の価格高騰により、推計 83 万人が貧困線以下となっている。世論調査によると、オランダ人の大多数は中流であっても収入そして将来が心配だと答えている。 18~34歳の間では、お金の不安が誰に投票するかを決める決定的な要因となっている。

移民: 前政権は難民制限をめぐる意見の相違などの理由により7月に崩壊した。オランダ人の3分の1は難民の削減を望んでいる。これは移民そのものというよりも受け入れ施設の不足が大きな理由だ。新党NSCのオムジヒト氏は移民の権利を住宅不足と直接結び付けている。

医療: 介護費用はどこでも上昇しており、500 万人のオランダ国民が自らを非公式の介護者であると述べています。オランダ人は2006年から健康保険に加入が義務付けられており、基本的な医療費として月平均141ユーロ以上を支払っているが、61%が保険料を支払う余裕がなくなるのではないかと懸念している。だからこそ、多くの有権者が医療の国営化を再び望んでいるのかもしれない。

気候変動: 選挙の 10 日前、アムステルダムでは数万人の行進参加者が気候危機に対する即時行動を呼びかけている。労働党と緑の党の同盟は、キャンペーンでこの問題を重要視しているが、オムジヒト氏は、最近の気候変動政策は「費用を支払えるエリート」に焦点を当てていると示唆した。

今回の選挙で注目すべき立候補者

ディラン・イェシルゴズ 氏(46 歳)は、ルッテ氏率いるリベラル・保守派 VVD の新党首。トルコ難民の娘であり、現在、オランダの指導者になると広く期待されている。

ピーター・オムジヒト氏は、人気の波に乗っており、同氏が発足した中道政党である新社会契約党(NSC) が選挙の本命候補に浮上している。

フランス ・ティマーマンス: 世論調査で上位を走っている唯一の左翼候補者である。EUの 気候変動担当委員の職を辞し、労働党と緑の党による共同キャンペーンを主導している。

ヒールト・ ワイルダース氏:  極右の自由党は長年、モスク、コーラン、イスラム学校の禁止を求めてきたが、現在「明らかにもっと重要な優先事項がある」と述べている。そして自身の政策の一部を「保留」することについて話しており、政府の一翼を担うことに熱心であることを示している。彼の自由党は現在、世論調査で緑の党/労働党連合に次いで第 4 位となっている。