ウクライナ危機で食料、金属、エネルギーの値上がり

オランダのカーグ財務大臣は、ウクライナ戦争と経済制裁は世界的な食料とエネルギー問題をもたらすと述べている。オランダもその影響を大きく受ける。

ロシアは穀物、ライ麦、大麦の最大の輸出国。
ウクライナは、穀物、トウモロコシ、ひまわり油の主要な輸出国で、次の収穫がない場合、価格に大きな影響を与える可能性がある。また中国が制裁を課さずにこれらの食料を独占した場合にも、世界の供給に大きな影響を与えることは確か。
ラボバンクによると、穀物の価格は2倍になり、トウモロコシの価格は30%上昇する可能性がある。これによりパン、ビール、ビスケットの価格に影響を与える。また穀物は家畜の飼料であるため、肉や卵もより高価になる可能性がある。

ロシアは、鉄鉱石、鉄鋼、あらゆる種類の金属などの原材料の最大の生産国の1つ。世界のパラジウム生産量の半分を担っている。パラジウムは、たとえば、自動車の排気ガス、電話、歯科用充填材などに使用されている。
またプラチナ、アルミニウム、ニッケルもロシアから来ている。パラジウムとプラチナは、とりわけマイクロチップの製造に重要だ。ニッケルは電気自動車のバッテリーに使用されている。これらの金属の価格は、最近とみに上昇している。

食料と金属だけでなく、ヨーロッパにとって最大の問題はガス不足の可能性だ。これは、住宅の暖房や調理に必要なだけでなく、エネルギー源としてガスに大きく依存しており、発電にとっても重要だ。欧州全体のガスは40%ロシアに依存している。オランダはロシアへの依存率は15%

ブルームバーグによれば、欧州の天然ガス価格が2日の取引で急上昇し、最高値を更新した。ウクライナ侵攻によってロシアのガス供給に不安が生じたことが背景にある。欧州の指標となっているオランダのガス先物価格は、アムステルダム時間2日午前10時時点では59%高の同193.57ユーロで、今週に入り2倍を超える上昇となっている。ロシアの欧州向けガスは今のところ滞りなく供給が続いているが、ロシア政府が制裁に対して報復し、供給が停止する事態に各国政府は備えている。