オランダの教師不足は深刻

今年のニュースのタイトルで目立ったのが「不足」。住宅不足から人手不足までオランダは不足に見舞われた。どれも深刻な問題であるが、教師不足はオランダの教育そして将来の経済成長にも大きく影響する。これまで、ひとクラスの生徒数を増やし、授業時間を減らすことでなんとかしのいできた。教師不足は今年始まったことではなく、かなり前から問題化していたが、政府は根本的な解決策を出してこなかった。なぜ教師不足が起きたのか? 解決法はあるのか?

教師の世界でも高齢化は進んでおり、過去15年間多くの人が退職した。それにもかかわらず、空席を埋める新しい人材は十分に供給されていない。新人教師の教育もうまくいっていないことが多いのと、キャリアの将来が見えないことが大きな要因だ。実際、若い教師の約4分の1は、教え始めてから5年以内に辞めている。

ここ2年間はコロナ危機で授業時間が減ったりオンラインに切り替わった。これにより学力の低下が見られるようになった。政府は学校に補助金を出し、学力向上を励行したが、教師不足により根本的な解決は見られなかった。臨時教員もほとんど見つからない状態だ。ときには教師免許を持たない人も教壇に立っている。

新政府は、この問題を深刻にとらえ、改革を公約している。
中高等学校では教師免許の改善も検討している。例えば数学、化学、物理学の教師が不足しているが、生物の教員資格を持っている人が簡単に化学教師の免許が取れるような仕組みを作ったり、経済の専門教師が数学の教師資格を取る訓練を受けられるようにするといった方法だ。
とくに教師不足が目立つ小学校bでの解決策は、給与の値上げである。公約では、小学校教師の給料を中高等学校の給与レベルまで引き上げるとしている。これによって教師のなり手が増えると見込んでいる。