オランダ、生徒の学力下がる一方、学校差も広がる

教育省が毎年実施している生徒の学力を調査した報告書「教育の状況」によれば、昨年の小学校と中高校の生徒の学力が一昨年より下がっていることが判明した。実はこの学力低下は過去20年間にわたって続いている。報告書は調査の結果は非常に憂慮すべきだと結論付けている。小学校卒業時に満足に読み書きのできない生徒の数が増えているだけでなく、全体の学力も低下している。さらに、社会経済的な分断もここ数年顕著になっている。高学歴の両親のいる子供とそうではない子供が混じらないという現象だ。つまり学校ごとの差が広がっている。住む地域が異なることも一因だが、親が子供の学校を選び少し遠くとも学力の高い学校に入れたがるのも要因になっている。これに対し人種による学力の違いは逆に減る一方だ。
報告書にはプラス面も記載されている。オランダでは義務教育後に仕事が比較的容易く見つかる。他国では若年失業者が多く仕事が見つからないことが多い。また、世界各国との比較でも、オランダの15歳の子供の国語、数学、科学の学力はともにトップ2位から3位にある。

教育省もここ数年の学力低下を認めている。ほぼ全部の学校が基礎レベルを保持しているのは確かだが、この基礎レベルに達することが最終目標になることには反対している。学力が高い子供にはそれなりの教育を施すべきだと、大臣は述べている。
教員不足も義務教育での学力低下の原因にあると、一般教育連盟(Algemene Onderwijsbond)。教員不足は深刻で、教員の負担は増える一方。これが教育レベルに影響していると同連盟。

教育調査報告書