人種差別に対するデモ、コロナ規制とのジレンマ

6月1日、先週米ミネアポリスでの警官による黒人男性殺害事件を受け、人種差別に対するデモ「Black Lives Matter」がアムステルダムのダム広場で行われた。当初は250名ほどの参加者を見積もっていたが、蓋をあけると5千人が集まるデモに拡大した。現在オランダはコロナウィルス拡散防止のため、人との距離を1.5メートル開けるという規制があり、違反すると390ユーロの罰金が課される。
今回のデモでは、当局はこの規制を無視し罰金は課さないという方針を示した。憲法で保障されている言論とデモの自由に基づきデモを許可したハルセマ市長も「もしこれだけの人が集まることがわかっていれば、別の方法で取締ができたはず」と述べており、「悪魔のジレンマ」に直面したと心中を吐露した。

今回のデモに関してはオランダ国内で賛否が渦巻いている。ハルセマ市長の主張する「デモをする権利」を主張する人たちと、「これまで規制を遵守し不自由を強いられていたというのにこのような集会が許されるのはおかしい」「感染が拡大する可能性がある」と、コロナ禍の時期のデモに反対する人たちだ。

6月2日にはハーグ、そして3日にはロッテルダムで「Black Lives Matter」のデモが計画されている。ハーグのデモを組織するグループは「参加者はマスクをすること。(リスクグループは)なるべくデモには参加しないで、ソーシャルメディアなどを通して賛意を表して欲しい」と発表している。

デモの様子と参加者インタビュー