オランダ、イノベーションでは世界3位だが、持続可能エネルギー利用では欧州最低

7日付けForbesの記事によれば、グローバル・イノベーション・インデックスとグローバル・コンペティティブネス・インデックスで、オランダの技術革新部門は2019年には世界4位にランクインし、欧州で最も経済的競争力の高い国となっている。しかし同時にエネルギー利用に関しては欧州でも最も非持続可能であり、汚染もひどい。これをForbes誌でKraaaijenbrink氏は「次のオランダ病?」と分析している。

「オランダ病(Dutch Disease)」という言葉が初めて使われたのは1977年。1959年北海のオランダ領海で大量の天然ガスが発見された。ところがその時からオランダ経済の後退が始まった。この経済の衰退は、外貨の大量流入による為替レートの大変化で、輸出が減り製造業が衰退し失業者が増えたことを示している。また天然資源の発見で豊かになった政府さえも社会保障費などの支出を大幅に増やしたため、長期的に首が回らなくなった。天然資源の発見と経済の衰退という一見逆説的な話だが、これが最初のオランダ病だった。

2020年のオランダはもちろん1977年とは違う。天然資源の発見もないし経済も好調だ。それをなぜ第2の「オランダ病」と見るのだろう。
Kraaijenbrink氏は次のように分析している。欧州一位のイノベーション力と競争力は、現在入手できる資源を利用してなりたっている。代替エネルギーやクリーンな大気といった高価なものには投資していない。こういう意味でオランダのイノベーションは旧態依然としたものだというのだ。言い換えれば、持続可能な生産と経済発展は相容れないというオランダ政府の考え方を顕著に表しているという。しかしこの単純ともいえる方針は、スエーデンやフィンランドを見れば間違っていることは明らかだ。両国ともイノベーションランクでは上位であると同時に代替エネルギーの利用でも欧州で1,2位だ。

それではなぜオランダで代替エネルギーの利用が進まないのか。国が小さく人口密度が高いため太陽光パネルや風車を設置する場所がない。という言い訳もよく聞く。しかし問題は心理的なのではないかと、同氏。経済は良好だし、衣食住は足りている、休暇も多いし、欲しいものはたいてい手に入る、という幸福な状態にいると、新しい変化を好まないのだ。今後オランダ政府がどのような持続可能なエネルギー政策をとっていくかが、再びオランダ病にかかるかどうかの鍵だ。

Forbes