オランダのアート探偵、盗まれたピカソを発見

盗まれたアートを探し出すオランダ人探偵アーサー・ブランド氏(49)は、20年間行方不明だったピカソの「女性の胸像」を探し当てた。1983年に描かれたこの作品は、1999年にフランスのアンティーブに係留中のサウジアラビアの富豪のヨットから盗まれ、その後行方不明になっていた。盗難された当時、この絵画は400万ユーロと見積もられていた。絵画のモデルとなったのはピカソの愛人であるドラ・マール。ブランド氏は、「地下社会のコネを通じて」作品のありかを追跡したという。見つかった作品はアメリカの鑑定家により本物であることが証明されている。

この発見を報じたフォルクスクラント紙によれば、ブランド氏は2015年にこの盗まれた絵がオランダにあるということを聞きつけた。ブランド氏が得た情報によれば2002年以来作品はオランダにあり、ドラッグや武器取引の際の担保として使われていたという。最終的にこの絵を入手した「ビジネスマン」は、これが盗品であることに気づき、手放そうと試みた。「自分が入手した作品が盗品だとわかればたいていの人はこれを処分したいと思う。ただ警察に行くというのは選択肢に入らない。盗みには関係していなくとも、入手の背景などを探られることを一番恐れているからだ。そんなわけで、作品は私のところに来たというわけだ。」とブランド氏。警察によるこの盗難事件の追跡はすでに終了しているだけでなく、時効にもなっている。現在この作品の評価額は2500万ユーロと見られている。

アーサー・ブランド氏はオランダのテレビ番組「アート探偵(Kunstdetective)」というシリーズに関わっただけでなく、世界のアート界でも有名だ。ルーブル博物館などでもブランド氏が盗品や偽物追跡で協力している。同氏は長いことアートビジネスの世界に身をおいていたが、裏世界ではインチキなディーラー、偽物づくり、泥棒、マフィア、テロリスト、さらに旅行者までが取引に参加し金を稼いでいることを知る。それ以来、盗品や偽物を追跡するという探偵業についている。

Arthur Brand