オランダ小売チェーン「HEMA」、オランダ人億万長者が買収に

多大な負債を抱え投資家を探していたオランダの小売りチェーン「HEMA」にやっと買い手が見つかった。オランダ人実業家のマルセル・ブックホールン氏は、負債ごとHEMAを買収、さらに海外での拠点を増強するための資本注入を行うと18日夜発表した。HEMAは11年前に英国のプライベート・エクイティ会社であるライオン・キャピタル社により買収されたが、それ以来負債が増え続けていた。
HEMAは7億5000万ユーロの負債を抱えているが、ブックホールン氏の投資によりこれが1億ユーロ減るとともに4000万ユーロの資本注入を受けることになる。この負債も短期間に大幅に減るはずだとブックホールン氏。これにより現在年間5500万ユーロ支払っていた金利も大幅に減る。

2007年に英国のライオン・キャピタル社がHEMAを11億ユーロで買収した際には、すぐにこれを転売し利益を出そうと企てていた。2011年にはアルバートハインの親会社であるアホールド社が買収を試みたが、13億ユーロという提示価格でこれを諦めている。

ブックホールン氏の購入価格は発表されていないが、ライオン・キャピタル社の購入価格より低いと見られている。HEMAの昨年の売上は12億ユーロ。損失が3100万ユーロと公表されている。ブックホールン氏は買収にあたり、HEMAをオランダの小売チェーンから国際的なチェーンに育てたいと抱負を語っている。現在フランス、ドイツ、スペイン、イギリスなどを含め700店舗展開しているが、中東そして極東にも展開したいという。

ブックホールン氏(59)の資産は18億ユーロで、オランダの経済誌Quoateではオランダの9番目の資産家となっている。会計士から始めたブックホールン氏は34歳で投資会社を設立、2005年にテルフォート社をKPN社に売る取引で数億ユーロの利益を上げている。このほかにもサッカークラブ「NECナイメーヘン」や東部の動物園アウエハンド、アイントホーフェンのハイテック・キャンパスなどを所有している。