ロシアのスパイ、オランダでも化学兵器禁止機関へのハッキング容疑で追放される

オランダの国防省バイルフェルト大臣は4日、ロシアが4月にハーグに本部を置く化学兵器禁止機関(OPCW)へのサイバー攻撃を試みたことを明らかにした。オランダ当局は攻撃を阻止し、ロシア軍参謀本部情報総局(GRU)の男性工作員4人を国外退去処分にしたと発表している。大臣はロシアに対し西欧の民主主義を攻撃するものだとし、ただちにサイバー攻撃を停止するよう求めている。さらに「通常はこのようなサイバー攻撃については公にしないが、最近のイギリスでのスパイ活動や2016年のアメリカ大統領選挙の際のロシアの関与を受け、今回事件を発表した。」と述べている。

オランダ情報機関(MIVD)によれば、今年4月10日にロシア人4人が外交旅券を使用しオランダに入国、化学兵器禁止機関(OPCW)の隣にあるホテルに滞在し、「近接アクセスハッキング」(インターネットを介さず直接的に侵入するハッキング)を試みたという。13日、容疑者らはレンタルした車のトランクに電子機器を置き、車両後部をOPCWの建物に向けるようにマリオット・ホテルの駐車スペースに停車。同日午後4時30分に機器のスイッチを入れたところを、オランダ軍情報部門の部隊が急襲した。その後4人はスイスのシュピーズにあるOPCWの研究所に接近する計画だったという。オランダ当局が4人から押収したパソコンには、2014年にウクライナ上空で起きたマレーシア航空機撃墜事件の捜査の指揮を執っていた司法長官の事務所などにサイバー攻撃をしかけた記録が残っていたとも報道されている。

5日イギリスでもロシアの軍事情報局(GRU)によるサイバー攻撃の内容を英国サイバーセキュリティセンター(NCSC)が発表している。これによれば、GRUはバッドラビット(大規模サイバー攻撃をしかけるマルウェア)や2017年の世界反ドーピング機関へのハッキング、そして2016年の米国民主党本部への攻撃に関与しているという。さらにGRUはイギリスで旧GRUスパイを毒殺しようと化学兵器を使用したと非難されている。