旅行者で満杯のアムステルダム、オランダ各地に「リトル・アムステルダム」

アムステルダムは世界各国からの旅行者で満杯状態が続いている。好況と格安航空券の影響もありアムステルダムはバルセロナとベニスと並ぶ混雑都市となっている。

アムステルダムのホテルでは昨年830万人の宿泊者数を記録したが、これは2016年比で14%増である。今年は昨年の9%増が予測されている。アムステルダム市当局は旅行者の中心地集中を少しでも緩和しようと様々な対策を実施している。グループで自転車をこぎながらビールを飲むビア・フィーツや新規ワッフルショップの開店禁止そして民泊の制限などである。ただこれでは間に合わず、当局はツーリストを近隣の都市へ誘導しようと躍起となっている。ターゲットはデルフト、ハーレム、ライデンで、どこも列車でアムステルダムから45分以内の距離の街である。これらの街にはアムステルダムと同様に歴史があり、運河があり、古い建物が並んでいる。可愛らしいショップも多い。

こういった「リトルアムステルダム」へ旅行者の目を向かせるだけでなく、アムステルダムのマーケティング当局は近隣地域も「アムステルダム」と名付け、旅行者にとって魅力的なものに変貌させている。ザンドフォールトは「アムステルダム・ビーチ」、マウダー城は「アムステルダム城」、ハーレムは「アムステルダム訪問に最適な基地」、ライデンは「巨匠レンブラントの生誕地」、デルフトのデルフト焼き工場は「ロイヤル・デルフト・エクスペリエンス」と名付け、「アムステルダム感」を醸している。

さて、アムステルダムから旅行者を引き受けたライデン、ハーレム、デルフトはどうなったのだろうか。どの都市も2013年比で50%近い宿泊者増を記録している。旅行者のプロフィールも年齢層が高く文化や歴史に興味がありホテルに宿泊しレストランで食事をするタイプで、街にとっては歓迎すべき人たちのようだ。アムステルダムに多い民泊をしファーストフードで済ます旅行者とは一線を画している。しかしアムステルダムに近いハーレムではアムステルダム同様に民泊による居住者の迷惑が問題化しており、規制が敷かれる可能性が高い。またデルフトでも、午前中キューケンホフに行き、午後にデルフト散策、そして夜はアムステルダムという日帰り旅行者も増えているという。
オランダへ来る旅行者は増える一方。観光収入は増える一方だが住民の苦情も同様で、アムステルダムと近隣の街は対策に頭をひねっている。