絶滅危機にあるミツバチ、アムステルダムでは増加

ミツバチの絶滅危機は世界中で憂慮されているが、オランダも例外ではない。ところが緑がそれほど多くないアムステルダムでミツバチが増えている。農村のほうが都市よりもミツバチが繁殖しやすいと考えがちだが、アムステルダムではミツバチが住みやすい環境対策を実施し増加に成功している。

生態学者の研究で2005年ごろからオランダのミツバチが激減していることが判明した。これを受けライデンの自然博物館ナチュラリスと生命科学を専門とするワーヘニンゲン大学が減少の原因を突き止めるための調査を行った。原因のひとつには大規模農業がある。「これにより過去50年で農村に生殖する植物や花の多様性が激減したのが原因だ」とオランダ養蜂家協会(Nederlandse Bijenhoudersvereniging)はコメントしている。養蜂小屋を持つような小規模農業家が姿を消し、大規模農業を行う企業が一種類の作物に特化し農作を行うため、多種類の花が必要なミツバチは姿を消す。さらにミツバチにとって大敵な農薬も多く使用されている。また農業地帯ではミツバチが好む道端の雑草がきれいに除草されてしまったいるのも問題だ。

これに対しアムステルダムはミツバチ対策を実施し、公園や道端や湖の畔での植物を多様化に努めている。草も短く苅らずに多種類の蜂が集まるよう工夫。さらに、アムステルダム市は農薬の使用を禁止している。市民もこの蜂増加政策に賛同し自分の庭に多種の木や植物を育てている。蜂は受粉に不可欠なので、オランダから蜂がいなくなると、現在生産されているリンゴ、ナシ、プラムなどが生産できなくなり、食糧問題にまで発展する。このため蜂を保護し増加させる政策が「オランダ蜂(増加)戦略」(Bijenstrategie)という名のもとに現在政府がらみで行われている。

オランダ蜂戦略