オランダの水管理ビジネスの需要世界中で高まる

オランダは何百年もの間、水と戦ってきたことで有名だ。水面下にある地域では水を汲み出し、防波堤や堤防を建設し、人が住める場所にしてきた。水管理技術の発達はオランダ国内経済に大きく貢献してきたが、気候温暖化による全世界的な水位の上昇で、この技術の需要が世界的に高まり、重要な輸出製品となっている。とくに世界中のデルタ地帯や沿岸地方は水位上昇や洪水の危険にさらされている地域が多い。中国の武漢市、ブラジルのサオパウロ、マイアミ、ニューオーリンズ、そしてニューヨークなどがオランダの水管理企業に発注している。
オランダの巨大エンジニアリング企業アルカディスは、この世界的な需要増で過去5年で売上が42%上昇し5億1500万ユーロを記録した。

海面上昇対策は、汲み上げと排水にとどまらない。ロッテルダム港湾地区では「水上に建てる」という新しい試みにチャレンジしている。水の上に浮かぶ建物である。土台はポリスチレンをコンクリートで包んだものをアンカーで海底につないでいる。水上のパビリオンを建造しているデルタ・シンク社によれば、地上は密集しすぎなので水上に移ればいいという発想が生んだこのパビリオン、建設費もそれほど高くないという。同社では来月には水上牧場を建設予定だ。この浮かぶ牧場には、40頭の牛、6000羽の鶏を飼育し、温室もつくるという。同社によれば、沿岸地方の農場が洪水の被害にあった場合に、この浮かぶ農場は役に立つはずで、大きな需要を期待している。