オランダ、4月1日から妊婦全員に新型出生前診断(NIPT)、ベルギーの遺伝子検査会社が反発

オランダでは4月1日から年齢や健康状態などにかかわらず、妊娠中の女性は誰でも新型出生前診断(NIPT)を受けることができるようになる。年間18万人の女性がこのテストを受けると予想されている。NIPTとは母体から採取した血液で胎児の染色体異常を調べる検査で、ダウン症の胎児を96%の確率で発見している。羊水検査や絨毛検査など、母体内の胎児の健康状態を診察する医学的手法はすでに確立されているが、これらの診断方法には穿刺針で母体を傷付けて流産のリスクを高めてしまう問題がある。このためこのNIPTがオランダでは使われるようになった。

オランダでは2014年からNIPTが許可されるようになったが、超音波や血液検査で胎児がダウン症の可能性がある場合に限られていた。しかしNIPTの精度と安全性が高いことが裏付けられ、4月1日からすべての妊婦が全国100ヶ所の病院やラボなどで、この検査を受けられるようになった。これまではオランダでNIPTは行われておらず、妊婦はベルギーなどの外国でこのテストを受けることが多かった。NIPTの費用は175ユーロとこれまでの590ユーロ(ベルギー)より格段と安くなる。これにはオランダ政府の助成金2600万ユーロが貢献している。

ところが、ベルギーの遺伝子関連企業ジェンディア(Gendia)は、政府による助成が違法であるとしてこれを訴えている。ジェンディア社は過去4年間2万1千人のオランダ人女性に590ユーロで検査を行ってきたが、今回の助成金で多くの顧客を失うことになる。