オランダ、医師会がタバコ業界に対する訴訟を援助

オランダでは、法律でタバコのパッケージにグロテスクな画像を印刷を義務付けるなど、消費者の喫煙を妨げようという禁煙対策は行われている。しかしタバコ業界はこの動きを無視しいまだに販売に力を入れている。昨年9月、若者に喫煙をさせない基金(Stichting Rookpreventie Jeugd)、そして喫煙で病気になった人が共同で、タバコ業界に対し刑事訴訟を起こした。訴訟はタバコ企業4社に対するもので、タバコの中に喫煙をやめられなくなる中毒性物質を混入しているのがその訴状。今回オランダ医師会はこの訴訟に対し10万ユーロ援助することを決定した。

告訴人は「シック・オブ・スモーキング」という喫煙から発病した患者を代表する団体にも支持されている。訴訟の目的は発病に対し賠償を請求するものではなく、タバコ業界の行為に対し刑罰を求めるもの。
今回の訴訟で勝つか負けるかの予想は2つに分かれている。ラットバウト大学の犯罪法学者ペーター・タック教授は、この訴訟の勝ち目はないと見ている。「タバコ依存はあくまでも個人の問題。タバコ産業に責任はない。」という意見。
これに対し、肺病専門のデ・カンター医師は今回の刑事訴訟を歓迎している。「過去の民事訴訟ではタバコ産業は敗訴することが多かった。今回の刑事訴訟でも勝てるはず。」

今回の被告の1社であるフィリップ・モリスは、昔ながらのタバコは生産を中止したいと発表し、このために当局の協力を仰いでいる。「通常のタバコは体に悪い。」と認めた上で、健康に害が少ないタバコを生産計画しているという。同社は、この新しいタバコを広めるため、国がタバコ広告規制を緩和してくれるよう働きかけている。