オランダ大学病院協会、「不要な治療」リストを政府に提出。検査や治療はさらに減る傾向。

医療費削減を目的とし、オランダの8大学病院医師協会(NFU)は、治療効果のないと考えられる不要な治療リストを作成した。このリストには約1300の科学的な根拠がない「不要な」検査と治療が載っている。リストは25日スヒッペルス健康省大臣に提出された。

報告書によれば、医学的に効果があると実証されているものは半数に過ぎないという。残りの半数は、常識や同情で行っているか、リスクの回避のため、あるいは野心や金儲けを目的としたものと、NFUの報告書は書いている。NFUは、今後これらの「無駄」で「不要」な治療を行わない方針で、調査を進める。

リストに上がった1336件の無駄な医療行為のうち、3分の1は検査、40%は投薬である。例えば、膝の痛みに対するレントゲン検査は意味がないし、慢性閉塞性肺疾患治療に使われる強い薬は効果がない。「医師は特に効果を考えず、慣習的あるいは他の医師がやるからという理由で治療することがある。あるいは利益を優先することもある。」とNFU。

オランダの医療費は増加の一方で、昨年では950億ユーロと10年前の40%増となっている。健康省は医療費削減のため、3年前から「すべきか放置するか (Doen of Laten)」プロジェクトを開始し、不要な検査や治療の調査を行っている。
意味のないレントゲン検査やCTスキャンなどをなぜ行うのかなど、数種目にわたり効果がないとされる治療や検査を細かく調査する。

ここ数年で行われなくなった「不要な」治療もいくつかある。たとえば、予防のためだとして、痛みもない親知らずを抜歯することはほとんどなくなった。半年ごとに行われていた未成年少女を対象にしたピル検査も廃止された。子どもが中耳炎を患わった場合、以前は医師が中耳を刺していたが実際には痛み止めの薬が十分効果的であるので、この治療もなくなっている。患者の視点では検査や治療そして投薬は多ければいいと考えがちだが、無駄な医療行為はますます減らされる傾向だ。