失われたレンブラント作品、オークションで発見

失われたと信じられていたレンブラント(1606−1669)の作品が、昨年米国のニュージャージーのオークションで売りだされていた。この作品は3月11日から20日までオランダのマーストリヒトで開催される世界的なアートフェア「TEFAF」で見ることができる。「失神した人(嗅覚)」と題された21.6x17.8cmの小さなこの絵画は、レンブラントが18歳か19歳で描いたものだとされている。失神した患者を医者の助手がアンモニアに漬けた布の匂いで覚醒させようとしている図である。レンブラントは当時5感(視覚、聴覚、味覚、触覚、嗅覚)を表現する5作品を描いたと言われているが、この作品はそのひとつである嗅覚を表すもの。

レンブラント絵画の専門家であるエルンスト・ファン・ヴェーテリング氏によれば、この作品は100%本物であることに間違いないらしい。
作品は長い間ニュージャージーの個人が所蔵していたが、昨年末「19世紀のヨーロッパ派の絵画」というオークションに出展された。ところが19世紀の無名の画家の作品にしては、セリ価格がどんどん上昇していくのを見て、これがどうも本物のレンブラントらしいと憶測が広まった。絵は現在、17世紀の黄金期の作品200点以上からなる「ライデン・コレクション」と呼ばれるニューヨーク在住の個人のコレクションに加えられている。
「ライデンコレクション」には5感のうちすでに2感のレンブラント作品が所蔵されている。「3人の歌い手」と題される聴覚を表す絵、そして触覚を表す「手術」である。この他にはライデンのラーケンハル美術館に「メガネの行商人」と題された視覚を示す絵がある。今回の発見で5感のうち4感が集まったことになるが、「味覚」を表す絵はまだ見つかっていない。

http://www.tefaf.com/