CNNがシンタクラースの「ズワルト・ピート」批判番組

オランダの冬の風物詩であるシンタクラース(聖ニコラス)のお祭りに登場する、顔を真っ黒に塗った従者ズワルト・ピート(黒いピート、zwart Piet)。毎年のようにこのズワルト・ピートの仮装に対し人種差別であるという批判が出ている。今年は国連も正式に「人種差別を助長する恐れがある」として、オランダ政府に撤廃を要求してきた。いくつかの地方自治体では顔を黒く塗らずに茶色や黄色などのピートを登場させるなど、従者=黒人という図式を塗り替えている。しかしアムステルダムを含め多くの自治体では、「伝統を守る」という理由でいまだにこの慣習は廃止されていない。

人種差別問題に敏感なアメリカ人にはこの顔を黒く塗っておどけるピートの存在が衝撃的なようだ。アメリカ人のドキュメンタリー映画監督のロジャー・ロス・ウィリアムス(62)は、CNNのサイト向けにズワルト・ピートをテーマにした「ブラック・フェイス」という映画を制作した。11月29日(日)からCNNのサイトで公開される。この短編ドキュメンタリーは報道作品ではなく、ウィリアムス監督の主張である「ズワルト・ピートは奴隷制度の産物である」をテーマにしたもの。しかし作品は「オランダの汚れた小さな秘密」と批判的ながらも、ユーモアたっぷりに描かれている。「以前、オランダの新聞にズワルト・ピート批判記事を載せたときには、ヘイトメールを受け取った。他所の国のことに口を出すなと。」そこで、今回ウィリアムス監督はユーモアで批判するという手段をとったという。

「オランダは寛容で平等な国だと思っていた。しかし肌の色に関してはどうもこれが当てはまらないのでは」と監督はコメントしている。

ブラック・フェイス