オランダ、「自宅出産は病院での出産と安全度は同じ」新しい調査結果

オランダは伝統的に自宅出産が多い国だった。1990年には38%の人が自宅で出産していた。ところが2010年に、自宅出産での事故率が病院の産婦人科医立会の出産より高いという調査結果が発表され、自宅出産を避ける人が増加した。当時の調査では、自宅出産で出産時に子供が死亡する率は病院での出産の2.3倍であるとされていた。このため自宅出産率は減り2013年には18%にまで落ちた。
しかし今回、アムステルダムのAMC病院と自由大学付属病院(VUmc)の産婦人科医と助産婦が共同で行った調査で、事故率は病院でも自宅でも全く同じであることが判明した。

自宅出産が人気であるオランダは、先進国ではユニークな国である。合併症などがない妊婦は、わざわざ病院に行かずに助産婦の管理の元で出産するという優れた出産システムが確立している。この場合、出産は自宅あるいは日帰りのクリニックで行う。これに対し出産に危険が伴うと判断された妊婦は、病院で産婦人科医の立会いの元で出産する。この背景には「妊娠と出産は病気ではない。」というオランダ独自の考え方がある。

5年前の研究結果は、産婦人科医そして助産婦から実情を反映していないと批判されていた。今回サンプル数を拡大し80,000人の妊婦を対象に同じ調査を行ったところ、全く異なる結果が出た。調査対象は前回は合併症が最初から診断されている妊婦も含まれていたが、今回は特に問題のない妊婦のみという違いがある。

今回の調査対象者はアムステルダムに住む83289人の妊婦。このうち、自宅出産で出産時に赤ちゃんが死亡したのは、10000人に対し8件。病院で産婦人科医の管理の元では、この数字は8.4件となっている。