なぜオランダ人はパートタイムで働くのが好きなのか

オランダの人手不足は深刻さを増している。その理由のひとつにオランダ人のパートタイム志向がある。もちろんベビーブーマーが一斉に労働市場から退出したなどの理由もあるが、世界でもパートタイム労働天国のオランダというのもこの人手不足を増長しているという。多くのオランダ人が週4日労働を選んでいる。ここでいうパートタイムは日本のパートやアルバイトとは違い、働く日数は少ないが正規社員契約でフルタイム労働と給与以外の条件は変わらない。日本では女性がパートタイムを選ぶがオランダでは男性でも管理職でもパートタイムを選ぶ人が少なくない。

オランダの労働人口940万人のうちフルタイムで働く人は490万人。450万人はパートタイムである。とくに女性が多く300万人はパートタイムで働いている。パートタイム労働が多い業界は、飲食、貿易そして運輸。さらに医療介護、教育、公共機関でのパートタイム勤務者は多い。

パートタイマーをフルタイム勤務にすれば、人手不足はかなり解消するはずだ。どうしたらフルタイム労働を魅力的にするかが鍵となっている。企業はどうしたらいいのだろうか?たとえば、保育所の確保も重要だ。さらに税制上の問題も解決しなければならない。所得が上がると助成金が減る分野もある。

パートタイム労働はオランダの文化だと言い切る人もいる。管理職でも週4日あるいは3日を選ぶ人は少なくない。医療介護や教育分野でもパートタイムが主流である。女性にパートタイムが多いのは、仕事のほかに母親として子供の世話をしたいという人が多い。つまり所得より自由時間を選ぶという文化がオランダにはある。

オランダでは(フルタイムと同じ条件の)パートタイム労働が法律で保証されているため、雇用者はいくつかの例外を除いては従業員にフルタイム労働を強要できない。例外は、その従業員が必要不可欠である場合に限られる。