大企業の海外移転希望増える。オランダはもう魅力がない?

オランダのビジネス環境がいいということでオランダに拠点を設ける会社は多かった。しかし昨今では多くの大企業がオランダに対する不満を募らせ、撤退を望んでいるという。ビジネス環境モニターによれば は6 社に 1 社が海外移転を検討している。しかし企業は単純に別の国に移転できるのかという問題も残る。

ビジネスロビーの声も大きくなった。オランダのビジネス環境がに悪く、海外が手招きしているという。例えば、海事サービスプロバイダーのボスカリス(Boskalis)は、事業の一部をアブダビに移転することを決定した。また世界最大の半導体装置製造のASMLは、将来的には海外への移転希望の可能性がある。

最大の原因の一つは、昨年10月に議会が駐在員に対する税制上の優遇措置を廃止する決定を下したことだ。また今後自社株買いに重税を課すことも決定している。

オランダは長年安定したビジネス環境を保っていた国であったはずだ。多くの企業がこの利点はほとんど残っていないと批判している。新しい工場などへの投資は数十年にわたって行われることが多いため、まさにこの安定性が重要な要素だったのだ。さらに大きな問題は、外国人労働者に対する制限の可能性である。

ASML CEOのピーター・ヴェニンンク氏は最近、オランダを「太っていて、愚かで、幸せだ」と評した。また先週のテクノロジーカンファレンスに招待された国会議員6人のうち5人がドタキャンしたことに腹を立て、これは政治家がテクノロジー分野を重要視していないことの表れだと批判している。

さらに多くの企業はASMLよりも一歩先へ進み完全にオランダから撤退することを望んでいる。ただし完全撤退はあまり現実的ではなく、書類上の移転から始まりそうだ。

オランダが企業にとって良い場所であるというイメージは近年薄れつつある。たとえば、シェルとユニリーバはこれまで英蘭合同の企業だったが、完全に英国となることを決定し、化学製品製造のDSM はスイスのフィルメニヒとの合併後、書類上スイスに設立することを決定している。また企業誘致に力を注いでいるのはオランダだけでないことも忘れてはならない。ドイツやフランスなどの国も補助金を活用して大企業の誘致を進めている。

たとえば、台湾の半導体メーカーTSMCはドイツに新工場を開設した。またテスラも近年ベルリンに工場を建設した。 「彼らはオランダも検討したが、最終的には別の国を選んだ」

参照記事:nu.nl