【お天気コラム】天気を支配するもの

物事が必ずしも順序通りでないことの例えとして「小寒の氷、大寒に解ける」ということわざがありますが、今年のオランダはまさにこの言葉通りとなりました。1月9日(写真左)は「最高気温0.1℃」で頬にあたる風が痛いほどの凍てつく寒さになりました。一方、1月23日(写真右)は「最高気温は13.4℃」となって寒さは幾分控えめになりました。

ご覧の通り、9日と23日は気温だけではなく、空模様も大きく異なりました。9日は快晴ですが、23日は灰色の空に。このような天気と気温の違いに大きな影響を与えているのは「風向き」です。風と天気や気温は密接に関係しているのです。

風が分かれば天気が分かる

海から入ってくる風は湿っているので曇りや雨(雪)の日が多くなります。それに対して、大陸から入ってくる風は乾燥しているので晴れやすくなります。オランダでは海がある西や北から風が吹くと天気が悪くなり、大陸がある東や南から風が吹くと晴天になる傾向があります。

また、冬は海の方が陸よりも温かいため、海からの風は寒さを和らげ、陸からの風は寒さを厳しくします。凍晴(いてばれ)となった9日は「北東風」、灰色の空だけど比較的暖かかった23日は「南西風」が吹いていました。

なお、北風と北西風はオランダでは海から吹く風ですが、北からの冷たい空気と一緒にやってくるため気温が下がりやすくなります。北風や北西風は冷たく湿った空気を運んで変わりやすい天気をもたらし、雪を降らせることもあるのです。

所変われば天気も変わる

北西風はオランダでは雪が降ることもありますが、東京など日本の太平洋側では晴天のサイン。西高東低の冬型の気圧配置の時、太平洋側の地域では北西風が吹きます。これは山から吹き下ろす乾いた風なので、スッキリ晴れて空気が乾燥。太平洋側の冬の典型的な天気となります。同じ風向きでも、場所が違えば天気もガラリと変わるのです。

住んでいるところの天気の特徴を知ることは暮らしやすさにもつながります。これから天気予報を確認する際には、ぜひ天気を支配する風にも注目してみてください。

1月9日と23日の観測値はKNMI所在地のDe Biltの値を記載

参考

https://www.knmi.nl/over-het-knmi/nieuws/koudegolf-in-mild-nederlands-klimaat

https://www.weeronline.nl/nieuws/15-2-2021-dit-is-waarom-we-van-winter-naar-lente-gaan-in-een-week

https://www.weeronline.nl/nieuws/is-het-altijd-mooi-weer-bij-een-hoge-luchtdruk

プロフィール

竹内青空(たけうち あおぞら)

徳島県出身。2021年よりデン・ハーグ在住。インスタグラム(@aozora_takeuchi)でオランダの天気や生活について発信中。日本ではウェザーニューズに所属して気象原稿作成やラジオの気象情報を担当、千葉テレビでも気象キャスターとして出演していました。