過去40年で最大の賃上げ率、今年も続く

オランダの賃上げ率は昨年度平均6.1%で過去40年で最大の引き上げ率であった。この賃上げはインフレによるところが大きいが、インフレ率はこれより高かった。中央統計局(CBS)の統計によれば、物価上昇率は8.4%と賃金上昇率を上回った。業種によって賃上げ率は変わるが、公務員は平均7%、運輸とロジスティックは7.5%となっている。したがって、実質賃金の推移、つまりインフレを調整した賃金上昇率は、2023 年にはマイナス 2.1% となった。

昨年の賃金引き上げがインフレを下回ったことから、今年も賃上げは続くと見られている。おそらく昨年のマイナス分の2%は上がるはずだ、とCBSの専門家。

これに対し中央企画局(Centraal Planbureau)は、今年の賃金上昇率を5.6%と想定している。従業員にとってはうれしい賃上げだが、これがさらなるインフレを招くいわゆる賃金物価スパイラルの危険もある、とCBSそしてオランダ中央銀行も指摘している。

賃金物価スパイラルとは、物価が上がるとその上昇ペースに追いつくために賃金が上昇し、それがまた物価を押し上げ、さらに賃金が上昇していくという悪循環のことだ。そうなると、結局、購買力は上がらないか、ほとんど増えないため、従業員は賃金を上げてもあまり得をしない。しかし、2%の引き上げでは、当面はこのスパイラルは起きないとCBSは見ている。