水面上昇3mでもオランダは沈まない?

地球温暖化が防げないとすると2100年までに海面は1.2メートル上昇すると予想されている。南極の氷が溶けるとこれが2.5メートルにもなる。海抜ゼロメートル以下が国土の4分の1を占めるオランダは、このまま沈んでしまうのだろうか。それとも得意の治水技術で乗り切れるのだろうか?

最近発表された海面上昇に関するデルタ会議報告書は、「オランダは洪水を防ぎ淡水使用を制限することでなんとかやっていけそうだ」と結論付けている。「土地利用、建設方法、インフラを適応させ、オランダ北部の経済的活力を維持することで、オランダ南部を住みやすく居住可能に保つことが目的である」と報告書は述べている。

海岸線の浸食を防ぐための砂の補給、堤防の補強、高潮防御という既存のシステムで数メートルの海面上昇に対処できると計画書は楽観的だ。早ければ今世紀末以降に海面があと数メートル上昇するかもしれない不確実性は大きいが、オランダは新しい「解決策の方向性」を選択できるだろう。堤防を絶え間なく高くするだけでなく、増加する洪水、氾濫、塩分化に空間の利用を適応させる。またこれから建設する家の場所も考慮する必要があるだろう。堤防補強や砂の補給などを考慮すると海岸近くの住宅建設とインフラ整備は避けたほうがいいと報告書は書いている。

ただこの楽観的な報告書を支えているのは、オランダの日々の治水工事である。すでに洪水防御を強化するために毎日工事が行われ、海岸には大量の土砂が散布されている。必要な淡水を確保するためにも、これらの措置を拡大する必要があるという。

画像:KNMI、NRC