【寄稿】散歩中に見つけた地域のエコ活動

アムステルダムでお出かけの際に、大きな木樽や2メートルほどの三角コーンのような物を見かけたことはありませんか?それは、生ごみを堆肥(コンポスト)に変えるミミズたちのすみか、ミミズホテル(Buurt-wormenhotel)です。

アムステルダムのごみ処理は自治体の地区単位で行われますが、生ごみ[果物・野菜・庭のごみ、オランダ語でGroente-Fruit-Tuinafval (GFT)]に関していいますと、自治体が管理・運営するGFT分別収集コンテナはいくつかの地区にしかありません(例えばZuidoost、Geuzenveld、Ijburgなど)。自治体が収集した生ごみはグリーンガスや堆肥などに還元され、ゴミ収集車の燃料として使われたり、都市農業や地域の住民の庭で利用されたりしますが、ほとんどの生ごみは分別されずに一般のごみに捨てられます。そのような状況の中で、GFT分別コンテナがない地域では住民がミミズホテルで生ごみをバーミコンポスティングしています。堆肥を作る方法はいろいろありますが、バーミコンポスティングはミミズと微生物の生活環を利用して効率よく生ごみなどの有機物を分解し、栄養価の高い堆肥に変えます。

アムステルダムにミミズホテルが登場したのは2015年。生ごみが分別されずに可燃ごみとして捨てられるのはもったいないと考えた住民5世帯が、自治体の地域住民活動助成金 (subsidie bewonersinitiativen)を利用して最初のミミズホテルを始めたそうです。この取り組みは他の市にも広がり、今やオランダには数百個もあるということです。

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ミミズホテルの型は設置された年や自治体によって違います。写真のミミズホテルはアムステルダムで最初に設置されたAdam(左)と昨年から使用されているEva(右)です。生ごみが堆肥に変わっていく様子を覗くことができる窓が付いています。どの型もリサイクルされた材料で作られているというところが素晴らしいです。(ちなみにEvaは使用済みケーブルリールの木材を再利用しています。)

バーミコンポスティングは個人でもできますが、ミミズホテルのコンセプトは「コミュニティ・コンポスティング」。資源の循環だけでなく地域住人の交流を強化するという社会的な意義も持っています。そのため公共のスペースに設置され、管理・運営は地域住人有志の「支配人」を中心に、10~20の登録世帯で行います。ミミズホテルの蓋には錠がかかっていて、暗証番号は登録世帯しか知りません。そこに入れられた生ごみ、紙、草や葉っぱなどの有機物が4~8か月で堆肥になり、年に1~2回収穫されて、各家庭のベランダや庭、また公共の場の土壌改良に使われます。さらにこの活動は、家庭ごみの量、捨てる手間や回数、ゴミ出しに使うビニール袋の数も減らすことにつながるので、ミミズホテルは環境、社会、そしてミミズにとってwin-win-winなのです。

【執筆・写真】Skriptory

【参照サイト】

https://www.amsterdam.nl/afval-hergebruik/groente-fruit-etensresten-scheiden/

https://edepot.wur.nl/513359

https://compost.wormenhotel.nl/

Wormenhotels in Rotterdam – rmc