オランダ国王、奴隷制度に謝罪。歴史的スピーチ
オランダは17世紀の黄金時代を貿易と奴隷制度で築いてきた。奴隷貿易や奴隷を使ったプランテーションが廃止されたのは今から150年前の1873年7月1日。昨日7月1日にはその150年式典がアムステルダムで行われたが、昨年のルッテ首相の謝罪に続き、ウィレムアレクサンダー国王が正式に過去の奴隷制度を批判そして謝罪した。
「昨年12月19日、オランダ政府を代表しルッテ首相はオランダ国家の名の下に何世紀にもわたって国民が商品にされ、搾取され、虐待されてきた事実を謝罪しました。今日、私は国王として、そして政府の一員として、心と魂を込めてあなたがたに謝罪します。」 スピーチは土砂降りの雨の中で行われたが、参加していた人たちの心を打つものだった。
国王は奴隷制度の恐怖とアフリカ人の非人間化について振り返った。「あらゆる形態の自由を奪う制度の中で、奴隷制は最も有害で、最も屈辱的で、最も品位を傷つけるものだ」と述べ、「同じ人間を、自分の都合に合わせて処分できる商品として見ること。利益を上げるための不本意なツールのようなもの。鎖で繋ぎ、取引し、焼印を付け、拷問し、罰し、殺害したりすることさえできるのだ。」と続けた。国王の心のこもった謝罪は式典や行進に参加した多くの奴隷の子孫たちの心を打ち涙をさそった。
オランダ王家であるオラニエ家は、奴隷制度に深く関与し莫大な利益を得ていた。オランダの黄金時代の繁栄は奴隷貿易によって築かれたといっても過言ではない。17世紀から19世紀に渡る250年間の間、オランダはアフリカやアジアから約60万人の人を奪いアメリカ大陸で奴隷として売っていた。これはヨーロッパ人による奴隷売買全体1200万人のうちの5%を占める。オランダは当時アフリカから人を買い、南アメリカのスリナムに運搬した。ほとんどの人たちはスリナムのプランテーションに売られ、奴隷として強制労働に駆り出されていた。ウィレムアレクサンダー国王の祖先は、オランダ連合共和国の宗主として、政治的にも重要な役割を果たしていた。インドネシアやスリナム、カリブ海諸国そして南アフリカなどの植民地からの利益は所得の半分を占めていたという。今回の国王のスピーチは王家の祖先の過ちを謝罪するもので、歴史的にも大きな意味を持つものだといえる。