政府の肥満撲滅政策はなぜ功を奏しないのか?

5年前に政府が鳴り物入りで発表した肥満を防ぐための協約(Nationale Preventieakkord)は、どうも効果が出ていないようだ。若者の肥満が減る様子がない。いったいなぜうまくいかなかったのか? 今後どのような対策を推進すべきなのか?

2018年マーク・ルッテ首相はこの計画を「運動の始まり」という野心的な名称で呼んだ。計画は、肥満だけでなく、喫煙そして過度の飲酒などを防止するのが目的だった。しかし若者の肥満率は2015年の15%から増え続け、ずっと25%をキープしている。つまり4人に1人が肥満なのだ。

市町村、飲食店、スーパーマーケットなどの業界がそれぞれ肥満防止対策を施行しているが、どれも強制的なものではない。野菜や果物への消費税(BTW)を廃止するというような案もでているが、実施が難しいだけでなく、その効果も明らかでない。同様に、「健康的」といわれる食品は価格が高い。

人々は高くても健康的な食品よりも、不健康でも安い食品を選ぶ事が多い。とくにこの物価高ではこれが顕著だ。ワーヘニンゲン大学の「消費と健康ライフスタイル」の講座をもつプールマン氏によればスーパーマーケットで安売りをしている食品の80%は不健康だという。また若者をターゲットとするオンライン・マーケティングの影響は非常に大きい。1日中スナックやお菓子などの不健康な食品が目に入ってくるのだ。この悪影響は政府の介入なしでは絶対に変わることがない。

オランダでは貧困層が増えているだけでなく物価も上昇し続けている。アムステルダム自由大学のサイデル教授によれば、とにかく食費を捻出するだけでも苦労しているのに「健康的な」食品を選ぶ余裕はない。

オランダの医療費が膨らんでいる背景には、肥満、糖尿病、心臓や循環器系統の病気といった慢性病が増えていることがある。この医療費を下げるためにも、肥満対策、健康対策は絶対不可欠であると、国民健康省のカウパース大臣は強調している。政府は規制などの介入をこれまでしてこなかったが、今後何らかの形で規制などが出てきそうだ。