オランダ選挙、現政権にノー。農民市民党の驚異の飛躍

昨日15日州議会と上院選挙が行われた。現時点で開票率は85%だが、現在の連立政権であるキリスト教民主党(CDA)とルッテ首相の率いる自由民主党(VVD)が敗北。さらに極右のFVD党はほぼ全議席を失うという結果が出た。そして今回の選挙が大きな地殻変動を起こすと言われる要因となった新党「農民・市民・ムーブメント党」(The BoerBurgerBeweging (Farmer-Citizen Movement、BBB)は上院で75議席中15議席を占める第一党になった。

下院議員がひとりしかいなかったこの新党BBB党とはいったいどんな党なのか。政府の窒素排出削減政策に反対する農家が昨年からデモを続けているが、この農家の声を反映する人とこれを支持する一般市民からなるのがこのBBB党である。BBB党は2019年に発足、「エリート議員」たちが決める政策に反対する人たちが右派・左派にかかわらず支持している。
政府は2030年までに環境破壊をする窒素排出量を半分にするために、窒素排出を続ける農家を買収し廃業に追いやる政策を強行する計画だが、世界第2位の農業製品輸出国であるオランダの地位を揺るがす政策でもある。BBB党はこの過激な政策に反対、窒素削減到達までの猶予期間を伸ばすよう訴えている。

驚くべきことにBBB党は世界の右派やポピュリストからも支持を受けている。オランダ国内では反イスラム主義を唱えるオランダのウィルダース氏のPVV党や、フランスのル・ペン氏、そしてドナルド・トランプ氏までもこの党を支持。そして気候変動政策が一部のエリート議員たちによって押し付けられることを嫌う市井の庶民や労働者からも大きな支持を得ている。党首は元ジャーナリストの女性、キャロライン・ファン・デル・プラス氏である。(写真)

今回の選挙では、緑の党と労働党がタッグを組み、合計15議席を獲得し、右と左の勢力が力をつけ、中道右派である現政権の政策に「ノー」を突きつける結果となった。今回の選挙は投票率62%と36年ぶりの高さである。