ウクライナ紛争でエネルギー費はさらに上昇か

ロシアによるウクライナ東部の親ロシア派支配地域の独立承認を受け、紛争の激化が懸念されている。これによるエネルギー費のさらなる上昇はあるのか? オランダ経済への影響は? 

機械や農業といった貿易面から見ると影響はそれほど大きいとは言えない。ただし「ロシアからの石油とガスに関しては世界そしてオランダへの影響は大きい。」とラボ銀行の専門家。オランダへの石油の輸入ははロシアからが最大。オランダへのガス供給は米国に次いで2位である。紛争が続けば、値上げは見えており消費者にとっては厳しいことになる。経済的損失は数10億ユーロになると見られている。

紛争がどれくらい長引くか、そして欧米諸国による経済制裁の度合いによってオランダの経済的損失は変わってくる。最悪なシナリオでは、原油価格は1バレル135ドルまで上昇、ガス価格は同215ドルという高値になると、ラボ銀行は予想している。すでに原油価格は1バレル90ユーロまで上昇しておりガソリンもリットルあたり2ユーロを越えている。光熱費も昨年1月と比較すると86%上がっている。

米国からの液化ガスの輸入が再開しているが、これもメガワット時100ユーロ以上と高値をつけている。
ハーグの戦略研究所(HCSS)によれば、ガス価格はこのまま高値を続けるか、さらに上昇する。これまでは冬の間だけが問題だったが、これが年間を通して続きそうだ。過去数ヶ月ロシアは欧州へのガス輸出を減らしたため、価格は急上昇した。

ロシアのガスに依存する以外に方法はないのだろうか? 米国からの液化ガス(LNG)の輸入も進んでいる。しかし輸送時間がかかる上に、貯蔵容量も問題だ。新規貯蔵施設の建設には4年はかかる。
オランダにはフローニンゲンにガス田がある。数年前まではこれに頼っていた。しかし採掘による相次ぐ地震と家屋損傷で、政府は採掘中止を決定。これによりガス価格の上昇に拍車がかかった。

画像オランダのガス田Rudy and Peter SkitteriansによるPixabayからの画像