オランダ経済回復で深刻な人手不足

コロナ危機による一時的な経済悪化から回復したオランダだが、これによる人手不足が深刻な状態になっている。雇用保険局UWVの7月末の求人のうち従業員が確保できなかったケースが16.5%となっている。

人手不足はオランダではここ数年続いているが、これほど高いのは初めて。雇用市場を調査したABNAmro銀行は、この状態はしばらくは続くと見ている。また、飲食業の人手不足はかなり深刻だが、現在では他の業種にもこれが拡大している。エネルギー、農業、食品、医療、建設業での雇用確保はかなり難しくなっている。具体的には、自転車による配達員(89%不足)、歯科衛生士(78%不足)、清掃従事者(74%不足)などが大幅な不足状態だ。

コロナ危機で企業活動は大きく鈍化したものの、人手不足は続いていた。政府が従業員の給与を補償するという助成金制度(NOW)のおかげで、企業は従業員解雇を免れたので、失業率は3.8%と低調が続いてきた。今企業の活動が活発化し、この人手不足に拍車がかかっている。

これを解消するためには、例えば在宅勤務を奨励するなどが上げられる。職場までの通勤距離によって就職を躊躇している人も在宅なら仕事ができるからだ。またNOW制度の終了で、解雇される人や倒産する会社が増える可能性もあり、これらが求人を埋めることも考えられるが、これにも限りがある。