急速に進む地球温暖化でオランダは浴槽状態に!?

国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は9日報告書を発表し、その中で人間が地球の気候を温暖化させてきたことに「疑う余地がない」と指摘。このままでは地球の一部地域は人間が住めなくなると述べている。熱波や大雨、かんばつといった異常気象の頻度や厳しさが増すと予測。海面水位の上昇については、2150年までに5メートル上昇する可能性も排除できないと書かれている。

オランダは国土のほとんどが200メートル以下の標高でその4分の1が海面より低い。王立海洋研究所(Nioz)のアイメー・スランゲン氏は、「オランダは水が組み上げられた浴槽のようなもの。その端に押し寄せる水はますます高くなっている。」と指摘し、「水がこの浴槽の端に近づけば近づくほど、嵐が来ると大洪水になる恐れが高まる。」と警告している。

「海面上昇は地球温暖化によってもたらされる。海水は温められ膨張し、海面が上昇する。また氷河や氷冠から溶け出した水も海に流れ込み、これも海面上昇を促す。さらに農業用水などの利用のため地下水が汲み上げられ、これが最終的に海に流れ込む。」とスランゲン氏。ICCPの報告書は2013年に発表されたものとあまり変わらないが、数値はかなり詳細化されている。たとえば、南極大陸の解氷による海面上昇は北ヨーロッパ諸国に大きな影響を与えることが数値で表されている。重力の影響により南極からの融解水は、世界の平均海面上昇に加えて、10パーセントの余分な海面上昇を引き起こす。

この海面上昇によりオランダは2年から10年ごとに高水位を経験することになる。つまり、東スヘルデ防潮水門(Oosterscheldekering)やマースラント防潮水門(Maeslantkering)は、これまで以上に洪水を防ぐために門を閉ざすことになりそうだ。

NIOZの報告書