5月6日のオランダ政府による規制緩和内容

本日6日(水)午後7時より、ルッテ首相及びデ・ヨンゲ保健・福祉・スポーツ大臣が記者会見し、オランダ国内でとられている現在の措置の緩和方針と当面の具体的な緩和内容について発表しました。
 具体的な内容は下記1、スケジュールについては下記2、考え方については下記3をご覧ください。

1 措置緩和の具体的な内容
(1)学校
〇小学校については、4月21日(火)の発表のとおり、5月11日(月)から再開。
〇中・高等学校については、6月1日(月)から、小学校と同じく半分のみの出席等限定的な形で再開。なお、この点は更に検討される可能性がある。
〇中等職業教育(MBO)については、6月15日(月)から限定的な形で再開できる見通し。
(2)スポーツや遊戯
〇12歳までの児童及び13歳から18歳までの青少年については、4月21日(火)の発表のとおり。
〇大人は1.5mの距離を維持している限り、屋外でスポーツや運動を行うことが可能。ただし、接触するスポーツは許可されていない。レッスンは行われ得るが、試合や競技会は許可されていない。また、シャワーを浴びる際は、自宅に帰って浴びる必要がある。
(3)客と接触する職業
〇接触が必要となる職種のほとんどの人は、仕事を再開することが許可される。これには、自動車教習所、(準)医療(栄養士、マッサージ師、作業療法士、義歯専門家等)、美容関係(理髪師、美容師、ペディキュリスト等)及びその他の治療従事者(鍼師、ホメオパシー療法士等)が含まれる。
〇可能な限り、顧客と1.5mの距離を維持しながら作業を行うこと。
〇予約制とし、顧客と一緒に事前に健康リスクの可能性について話し合うこと。
(4)図書館
〇図書館は再び一般に公開され、利用者が1.5mの距離を維持した場所に滞在できるように対策を講じる。
(5)公共交通機関
〇代替手段がない場合のみ、公共交通機関を使用すること。混雑時を避け、できるだけ距離をとることが求められる。
〇公共交通機関においては、6月1日(月)から非医療用のマスクの着用が義務付けられ、違反者には罰金が科される。それまでの間は、義務ではないが、マスク着用が推奨される。

2 今後のスケジュール
(1)6月1日(月)から
〇中・高等学校再開(ただし、詳細は検討の上、追って発表される。)。
〇1.5mの距離を維持する限り、カフェやレストランは屋外の座席エリアを再開できる。
〇映画館、レストラン、カフェ及び文化施設(コンサートホールや劇場等)は、特定の条件に従って再開される。
・最大30人(スタッフを含む。)。1.5mの距離を維持できなければならない。
・訪問者は、事前に予約する必要がある。
・事業主は、訪問がリスクを伴うかどうか(本人または同居家族に発熱や咳等の症状がないかどうか)を電話等を通じて事前に顧客に確認する。
〇博物館や文化遺産施設は再開される。ただし、1.5mの距離を維持できるよう、訪問者は事前にチケットを購入する必要がある。
〇公共交通機関はおそらく6月1日(月)頃から混雑するため、1.5mの距離を維持することはより困難になる。そのため、公共交通機関を利用するすべての人は、非医療用のマスクを着用することが義務付けられる。違反者には罰金が科される。
(2)6月15日(月)から
〇中等職業教育(MBO)は試験や実習のために再開。(なお、中等職業教育(MBO)、HBO、大学については、将来的に完全に再開するための計画が作成される。)
(3)7月1日(水)から
〇キャンプ場やホリデーパークのトイレとシャワー再開。
〇映画館、レストラン、カフェ、文化施設への訪問者を最大100人に増。これは、教会の礼拝、結婚式、リハーサル、葬式などの組織的な集会の参加者の最大数にも適用される。ただし、1.5mの距離を維持することが求められる。
(4)9月1日(火)から
〇フィットネスクラブ、サウナ、ウェルネスセンター、クラブの食堂、コーヒーショップ、カジノ、性風俗業再開。
〇あらゆる年齢の人々が接触のあるスポーツや屋内スポーツに参加できる。
〇プロサッカーの試合などのスポーツイベントは、無観客で実施。
〇フェスティバルや主要なコンサートなどの大規模な観客イベントについては、未定。その決定は、9月1日(火)までに行われる。

3 考え方
(1)オランダは、爆発的感染増の時期は脱したものの、ウイルスをコントロールできている状況になるまでには数か月はかかる。加えて、数か月たっても,ウイルスを根絶できている訳ではない。さらに、冬に近づけば、通常であってもインフルエンザへの感染が増えるなどのその他の要因も考慮に入れる必要がある。緩和は、少しずつ行うほかない。また、種々の緩和ルールの結果を見ながら、あるいは、他国の緩和ルールの結果も参考にしながら、調整していくことになる。そのため、発表している緩和スケジュールや具体的な内容は、ウイルスの制御ができていれば、という前提であり、感染が増加した場合は、変更もあり得る。また、9月以降の緩和について、過大な期待は禁物。最も重要な点は、感染に対して脆弱な人を守る
、医療崩壊を起こさない、という2点。手洗いを行う、咳くしゃみエチケットを守る、握手をしない、1.5mの距離を維持する、可能な限り在宅勤務をする、自身または同居家族に症状がある場合は自宅に留まる、70歳以上の高齢者および既往症のある人は特に注意を払う、という対策は引き続き徹底される必要がある。
(2)政府が設立した感染対策チームは、基本的に医療専門家が中心であったが、今後、社会学や経済、政治学の専門家中心に編成換えする。
(3)ICU病床数は、最大2,400床あるが、今後は1,700床を新型コロナウイルス感染患者用として維持しつつ、700床はその他の患者用とする。
(4)検査数は2021年2月頃に最大7万/日を目指すが、当面、6月中に3万/日を実現する。当面の検査数増は、感染を疑う市民のためのではなく、措置緩和によって活動を再開する諸業種に携わる人(教師、美容師、マッサージ施術者、レストラン従業員等)の感染の有無を確認することを優先し、こうした業種グループごとに行われる。これを終えた後、感染の広がりを把握する作業に入る。その意味で、アプリは引き続き重要であるが、現時点ではその開発は最優先で取り組む課題とはなっていない。
(5)マスクについては、医療用マスクはあくまでも医療従事者用であり、一般市民は使用してはいけない。一般市民にマスク着用を求めるのは、あくまでも公共交通機関等が措置の緩和によって、どうしても1.5mの距離をとれない場合の感染リスクを減らすことが目的であり、これによって感染が防止できると誤解してはいけない。また、マスクは手作りすることを求める。レストランや美容院、マッサージ等の客と接触する職業に従事する人にマスクを義務づけない代わりに、予約制かつ事前に発熱や咳等の症状がないことを確認することを義務づけているのは、右理由による。ただし、義務ではないものの、着用は自由。
(6)現時点で、1.5mの距離をとることが不可能となることが確実と考えられるのは公共交通機関であるが、あくまでも通勤のために使用せざるを得ない人を優先するため、学生は可能な限り徒歩または自転車を利用することを求める。(特段の事情がない限り、8kmは自転車通学の距離、とのこと。)
(7)大規模な集会解禁や在宅勤務の解除、学校の完全再開といった方針の緩和については、7月以降も最大人数を変更する考えはなし(たとえ収容力があっても、宗教上の必要性を訴えても、最大100名)。こうした最も難しい事項の緩和時期については、今後1年も現状を継続するのは非現実的ではあるも、9月に実現できるどうかは不明。
(8)移動の自由について、国境を超えた旅行は難しい見通しであるが、今夏に国内のキャンプ場やホリデーパークのトイレやシャワーは使用可能とする。家族以外は、3人以上の集団禁止、1.5mの距離を維持する、買い物は一人で行う、等のルールは変更なし。