音楽を聞きながらの手術で術後の痛みが減少、オランダの実験

ロッテルダムのエラスムス大学病院での研究によると、音楽を聞きながら手術を受けると術後の痛みが大きく減少するという結果が出た。外科専門誌「Annals of Surgery」に発表されたもの。ヘッドフォンで音楽を聞きながら手術を受けた患者は術後に要する鎮痛剤の摂取量が少なくなるという。これによって鎮痛剤の中毒になったり副作用が防げる、と同病院の研究者。ただし、音楽でもヘビーメタルやハードロックは効果がないようだ。

音楽が術後の痛みの減少にどのようなメカニズムで効果をもたらすのかを探るのは今後の課題だ。しかし、音楽が脳を通して人間の肉体に影響を与えているのは確かである。ストレスに対する反応、免疫システム、ホルモン管理などに効果があると研究者は見ている。メカニズムはまだ解明されていないが、痛み、恐怖そしてストレスが軽減されるのは確かだという。

この研究プロジェクトのリーダーであるイェーケル医師は、以前自分が手術を受けたときに、よく自分がピアノで演奏するショパンのファンタジーを聞いていた。このときに音楽の効果がひらめき、研究を開始したという。音楽は費用はかからない上、術後の鎮痛剤摂取による副作用を防げる。実際に5000人の患者の手術で音楽を試したところ、音楽を聞いていない患者が使用する痛み止めの量よりかなり少ない量の摂取が必要なことが判明した。外科手術には、モルヒネ、フェンタニル、オキシコドン、トラマドルといった麻酔薬を使用するが、これらの麻酔薬は中毒性がある。術後にもモルヒネなどを投与することがあるが、量が劇的に減るようだ。

Annals of Surgeryの記事