だまし絵のエッシャー美術館、レプリカで訪問者の目をだます

平面の中に立体構造を創り上げる独創的感性の持ち主で、視覚の魔術師と称され、「だまし絵」「錯視画」と言われる作品を多く描いてたオランダの画家エッシャー(1898-1972)。彼の作品を所蔵するハーグのエッシャー美術館が展示する作品の多くがレプリカ(コピー)であることがわかった。展示では、どの作品が本物でどの作品がレプリカであるか表示もされていない。

コレクションの一部(こちらは本物だという)は現在海外での展覧会に出ている。エジンバラの国立美術館では、「エッシャーの驚くべき世界」という展覧会が現在大成功を収めている。1週間後にはロンドンのダルウィッチ絵画ギャラリーに移動する。それにもかかわらず、ハーグにあるエッシャー美術館では150のオリジナル作品が常時展示されていると、同美術館のウェブサイトに載っている。 精巧につくられたレプリカを美術館が展示していたことに対し、エッシャーの作品を所有する財団の学芸員は「非常に遺憾である。」と述べている。

しかしながら、美術界での反応はさまざまで、ハーグ市立美術館の館長ベノ・テンペル氏は「エッシャー基金と美術館の間には、レプリカを展示していいという契約がある。その上美術館の入り口にもレプリカも展示されていると明記されている。」とレプリカに対する批判に反論している。テンペル氏はさらに、ほとんどの美術館でレプリカを使用しているとし、例えば写真美術館は全部が複製であるという自論を展開した。