オランダ総選挙、中道リベラルと極右が接戦

極右政党が仕切っていたオランダの政権が変わる。

昨日行われたオランダの総選挙の開票が行われている。中道リベラル政党D66の党首イェッテン(38歳)が、極右政党PVV(ウィルダース党首)と僅差の接戦を繰り広げている。最終的な議席数次第では、イェッテンが連立交渉の主導権を握る可能性が高い。しかし、彼が描く「中道路線の安定政権」実現には、中道右派のVVD(自由民主党)の協力が不可欠であり、これが最大の障害となりそうだ。


🔹 連立の選択肢は二つ

現時点の情勢では、イェッテンの前にある選択肢は次の二つに限られる:

  1. 広い中道連立(D66・VVD・GL-PvdA〔労働党と緑の左派の連合〕・CDA)=約86議席
  2. 中道右派連立(D66・VVD・CDA・JA21)=約75議席(過半数に届かず、外部支援が必要)

イェッテン自身は「前向きな中道勢力による安定政権」を志向しており、GL-PvdAを含む広い連立を好む姿勢を明確にしている。
一方、右派JA21との協力には懐疑的で、難民・気候・環境などの政策で隔たりが大きい。


🔹 VVDの拒否反応

ただし、VVD党首ディラン・イェシルギョズは左派のGL-PvdAとの協力を強く否しており、「左派との連立は全くあり得ない」と公言してきた。
彼女は選挙戦を通じて「中道右派政権(VVD・JA21・BBB)」を主張し、左派排除によって支持を回復した経緯がある。
したがって今さら「左派と組む」姿勢を示せば、有権者への裏切りと受け止められる恐れがある。


🔹 複雑化する政局

主要政党が細分化するなか、D66・VVD・CDAなしでは安定多数の内閣を組むことがほぼ不可能な状況だ。
CDA党首ボンテンバルは「勇気ある決断と有能な閣僚による安定政権」を求めており、経験不足のJA21よりもGL-PvdAとの連立を望む可能性が高い。

そのため、D66とCDAは協力してVVDに圧力をかけ、中道路線の大連立を形成しようとするだろう。だが、VVDが応じるかどうかは不透明であり、またGL-PvdA側も右派VVDとの連立に慎重な姿勢を示している。


🔹 イェッテンの試練

ロブ・イェッテンは今回の選挙で最大の勝者となったが、連立交渉では最大政党こそが最も譲歩を強いられる立場にある。それを熟知するVVDは、交渉で強硬姿勢をとる可能性が高い。しかし、その譲歩の先にイェッテンが手にするのは、オランダ首相の座という「最高の報酬」である。